ヤブニッケイ

原産地:
科名:クスノキ科
学名:Cinnamomum japonicum Sieb. ex Nakai
英名: Wild cinnamon

はじめに・・・
今年(平成18年)宮古島市中央公民館で植物生態学講座があり、
受講したかったのですが、ほとんど午前中の授業だったので参加出来ませんでした(._.)
そのフィールドワークで「宮古本来の森を作る植樹祭」が行われ、
タブノキやヤブニッケイが植えられたそうです。
宮古島には本土にあるような森林と呼べるほどの森はありませんが、
ささやかながらも大野山林のような場所はあります。
島の山林を形成しているのは主にタブノキやヤブニッケイで、
その周りを取り囲むようにシマグワなどの中程度の樹木があり、
さらに、その外側はシダやクワズイモのような下草が生えているそうです。
そのおかげで、多くの鳥や昆虫が生息する、多様性に富んだ森になっているそうです。
そんな内容を新聞で読んで「ヤブニッケイ」や「タブノキ」に興味を持ちましたが
長年、宮古島に住んでいながらも「ヤブニッケイ」や「タブノキ」のことを知りません(^_^;
さんざん探しまわったあげく、意外にも家の近くでヤブニッケイを見つけ、その香りにうっとり♪

特徴
ヤブニッケイはクスノキ科の常緑高木で、本州(暖地)以南の日本、台湾、中国などに分布し
樹皮は暗灰褐色、葉は長楕円形で光沢があり、葉の三脈が目立ちます。
6月から7月頃、淡黄色の花をつけ、秋頃には黒い果実になります。
ヤブニッケイには精油があるため幹や葉っぱを傷つけるとよい香りがします。

シナモン?
ヤブニッケイのことを英名でワイルドシナモンと呼びますが、シナモンとは違います。
どちらも同じクスノキ科なのですが、シナモンとは、別名セイロン肉桂(Cinnamomum zeylanicum)のことで、 クスノキ科の中でも特に香りがよいことで知られています。 漢方薬で知られるケイヒは主に中国原産のシナニッケイ(Cinnamomum cassia)のことを指すようです。

ケイヒ



中国産
【シナニッケイ】
樹皮は桂皮(けいひ)と呼ばれ、主に生薬として利用される。
日本薬局方にも収録されている
インドネシア産
【ジャワニッケイ】
ベトナム産
【ベトナムニッケイ】
セイロンニッケイよりも香りが優れている
シナニッケイ同様の薬用成分があるとされる




スリランカ産
【セイロンニッケイ】
いわゆるシナモンである。主に食用として利用、
お菓子などの香り付けとして、京都銘菓の八つ橋やシナモンティーなど(局方除外)
国内のニッケイ






ニッケイ外国産ものに比べて香りは劣るとされますが、根の皮にはケイヒ同様の薬効がある。ニッキの原料でもあり、私の年代にとっては懐かしい香りです。
ヤブニッケイ薬効、香り共に劣るといわれますが、それでも葉や樹皮は薬用になるし、種子から香油やロウが採れます。
マルバニッケイ準絶滅危惧として環境省レッドデータブックに載っており、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性あり

桂皮(ケイヒ)
桂皮(ケイヒ)とは肉桂(ニッケイ)の樹皮のことですが、
カシア系の肉桂の樹皮には特に薬効があるとされるため、生薬としてのケイヒはこれを指すようです。
カシア系統のケイヒは幹が大きければ大きいほど、それから採れる樹皮には強い香りがあるため、
老木の多いベトナム産は特に高品質といわれています。主な芳香成分である精油は
ケイアルデヒド(シンナムアルデヒド)で、鎮静、解熱作用、血圧下降作用、整腸作用、
末梢血管拡張など幅広い薬効があるといわれています。
一方、よく知られているシナモンも樹皮を利用しますが、カシア系と違い細い枝から樹皮をはぎ取り、
さらに内側のパルプ状の部分も取り除いて外側の部分のみを利用します。
また、香りはカシア系に比べて上品で肉料理やお菓子など、食用としての利用価値が高い。
カシアは日本薬局方に収録されているのに対し、シナモンは局方除外となっています。
だからといって薬効がないわけではなく、古代エジプトではミイラの防腐剤として使用されたこともあり、
カシアと同じケイアルデヒドを含むため、西洋では芳香性健胃薬として利用される他、
抗アレルギー、抗菌剤としても利用されています。
最近ではコレステロールや血糖値、中性脂肪などを下げる効果があるのではないかという研究も進んでいます。 外用としては黒髪を保つリンスに、口臭止めとして歯磨き粉に、肌の血行を促するマッサージオイルなどへの利用もされています。

ニッケイ
国内のニッケイは正確には日本肉桂(cinnamomum sieboldi)と呼ばれ、
樹皮には香りが少なく、根の皮に強い香りと辛味があります。ニッキの原料になります。
シナモンやカシアよりも劣るとされ、日本薬局方からは除外されているため、
国内での栽培は年々減少し、今では和歌山県や高知県の一部地域だけ残っているようです。

ヤブニッケイ
さて、最後になりましたが、やっとヤブニッケイに入れそうです(^_^;)
なんせヤブニッケイのデーターがあまりにも少ないので
一般的によく知られているシナモンとケイヒから整理しました。
香り高いシナモン、漢方薬としてのケイヒ、辛みのあるニッキ、
ヤブニッケイなんて〜といわないで下さい(-_-;)ちゃんと樹木全体に香りはあります。
材が緻密で硬く、乾燥に時間はかかるが加工が容易で、光沢のある仕上がりになるため
床板、家具材、装飾材として利用されてきました。
種子から香油が採れ、民間伝承では葉や樹皮はリュウマチ、腰痛、痛風、打撲などに利用されています。
一般的には観賞用や防風林に植えられています。


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