テリハボク

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原産地:マダガスカル
科名:オトギリソウ科
学名:Calophyllum inophyllum L.
英名:Punai nut
方言:ヤラウ


はじめに・・・
私がテリハボクに興味をもったのは知人のある一言でした
「戦時中に燃料が不足していたので、兵隊さんがヤラウで油を絞ったらしい。
けっこう良質の油がとれたんだって」
本土では椿や菜種、ひまわりの油がブームなのだが、
宮古島では植物から油を絞った話を聞いたことがなかったため、
この話を聞いたときからヤラウのことが頭から離れられなくなってしまった。

それ以後、地元の人に尋ねてまわったが、誰も知らないようである
灯油に使われていたんじゃないかなと答えてくれた人もいたが
どうやって絞るのか聞いたら、それ以上は知らないとのこと
かなり年配の人に聞いてみるしかない現状です。

地元の人の記憶が頼れないと解って、独自に調べてみました
国内では亜熱帯の植物の情報はなかなか得られず、
結局は海外のサイトでの情報収集となりましたが
その内容は、油を絞る以上の有用樹木ということがわかりました。

観察を始めてから間もないので、宮古島ではいつ頃実がなるのか
年に何回花を咲かせるかなどは、すべてこれから確認することになるので
後で追加編集ということになります。


flower.jpg(10093 byte) テリハボク(照葉木)
テリハボクは熱帯アジアに分布する樹高20m、直径1mに達する常緑高木で、 学名の「Calophyllum inophyllum」は「美しい葉」という意味です。 幅の広い楕円形の葉はかがやくようなツヤがあり、とてもきれいです。 台風や潮風に強いため、海岸の暴風保安林や潮害防備保安林として 宮古島の海岸線にたくさん植えられています。 6月頃には直径2cm程の香りのある白い花を総状花序に付けます。 直径3cmくらいの緑色の果実は中に大きな種があり、仁には油が多く含まれています。


名前がいっぱいありすぎて・・
テリハボクにはたくさんの名前があるため、時には混乱します
一般的にはカロフィラムといい、その呼び名は学名からきています。これ以外にも
国によってさまざまな名前があるので、とりあえず、代表的な名前だけを書いておきます

タヒチTamanu(タマヌ)
ハワイKamani(カマニ)
マダガスカルForaha(ホラハ)
インドPoon(プーン)
マレーシアBintangor(ビンタンゴル)
英語Punai nut(プナイナット)

ヒーリングフルーツ
テリハボクの果実は食べることはできますが、甘みが少ないために美味しいとはいえません。
それでも昔の島の子供達にとってはそれが熟する時期が楽しみだったと言います。
植物の本には、この果実の種子からは油が採れ、灯油、ロウなどに使用されるとあります。
しかし、海外ではこの油にはたくさんの薬効があるとされ、美容や医療に
有用なオイルとして注目を浴びています。特に南太平洋の国々では民間療法の
万能オイルとして昔から利用されてきました。

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濃い深緑色で、独特な香りのあるオイルは、湿疹、吹き出物、乾癬などの あらゆる皮膚疾患に効くといわれ、特に火傷や切り傷などには抜群の効果があるといわれています。 更に、このオイルは肌のコンディションを整える作用もあるといわれ ポリネシアの女性は潮風や強い日差しから肌を守る為に、 ツヤのある黒髪を保つようにと好んで使用します
最近では日本にも輸入されるようになっていますが、とても高価なオイルです。 ほんの少しで効果があるそうなので、キャリアオイルに混ぜて使用するのが一般的です。 ハワイではテリハボクのオイルが混ぜられたマッサージオイルの製品もあります。
テリハボクの葉も同じような効果があるといわれ、現地では葉を火にかざして柔らかくしてから 傷口にあてがったり、煮出し汁を浸けたりするそうです。 テリハボクの葉にはサポニンがたくさん含まれているので、もしかして、このサポニンの効果なのでしょうか。

その他の利用のされ方としては、木に含まれる樹脂がアロマテラピー用の精油、
また医療用には傷薬、膏薬などに利用されています。
最近ではエイズや癌に「カロフィラムクマリン」が効果があるのではと、期待されているそうです。
沖縄にはテリハボクがたくさんあるので、できれば国内産を有用活用したいものです。

材木としての利用
テリハボクは台風にも潮風にも強いのですが、どうしても樹形は暴れてしまいます。 まっすぐな材は採れなくても、強靱で木目が美しいため、 琉球漆器や高級家具、装飾材などに広く利用され、 沖縄の樹木の中では上質な材として評価は高いです。

2006年7月15日


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